大学職員に英語力は「必要」
TOEICスコアが500点台で語学力にコンプレックスがあります。
実際のところ、大学職員に英語力はどれくらい求められているのか知りたいです。
こんな疑問にお答えします
おかげさまで、このサイトの大学職員カテゴリーへの訪問者数が急激に増えてきました。
そんな状況の中、内訳で見ると、なぜか海外からの訪問者数の比率が3割以上。
そんなこともあり、外国の学位を取得されている方も視野に入れて、日本の大学職員と英語力の関係について語ってみます。
この記事では、Sランク私立の大学職員経験者が18年間の勤務経験を交えながら大学の内部事情を語っています。
この記事の内容
大学職員の採用面接と英語力の関係
語学力があると有利
大学職員を目指す場合、英語力があると問答無用で有利です。
その理由は次のとおり。
- 今どきの採用トレンドとして、英語はできて当たり前という社会基準があるから。
- その社会的風潮にもかかわらず、英語の勉強をあえてしてこなかった応募者には、根拠なくネガティブな印象を持ってしまうから。
- 募集要領の「求める人材像」に、フレーズとして入れやすいから。
どの業界であれ、英語力を評価ポイントにおくことはとてもわかりやすいですね。
英語力の評価には異議が出ない
- わかりやすいがゆえに、職員採用チーム内でもそれに対して誰もNoと言わない空気感があります。
- 例えば、採用チームが次年度の職員採用方針を固めるミーティングなんかをする時も、とても安易な感じで英語力を評価ポイントに挙げがちです。
- 今や英語はできて当たり前、新卒の応募者でもTOEIC800点以上の学生が山ほどいる状況も、そういった空気感につながる理由です。
といった現場感があります。
結果、採用時に英語力があると、問答無用で有利に働くのが現実です。
大学職員の仕事と英語力の関係
英語力は不要
ところがいざ入職したあと、その語学力がどれくらい仕事に役立つかというと、
ほぼ関係ありません。
学生部や就職支援センター、奨学金課や教務部、はたまた人事部や経理課、管財部や卒業生対応、さらには入試業務に至っても、ほぼ日本語オンリー。
日本の大学である以上、それでこの先も支障ありません。
大学としてのグローバル教育は重要
グローバル化には、多くの大学で重点的に経営資源を投入しているのは事実です。
しかし大学にグローバル化が求められているのは「教育面」について。
それは教育者の仕事。
事務職員の領域ではありません。
大学職員が英語を使うシチュエーション
とはいえ、確かに事務面でも英語との接点はあるにはあります。
が、それは、
- たまに書類やメールを「読む」
程度で、
- 外国人に対して「話す・書く・聞く」
といったシチュエーションは、まぁ無いです。
受験英語経験者なら、そのレベルで十分実務をやっていけます
大学職員で語学力が必要な実務とは
もちろん、英語力がないと仕事にならない事務部門もあります。
ですが、そこには、英語圏で育ってきた日本人か、日本の大学を卒業した外国人が何人かいて、彼・彼女たちに任せるのが通常です。
理由は、そこで求められる英語力は、まさにネイティブレベル「だけ」だからです。
ネイティブの業務内容
ネイティブレベルの大学職員たちは、
- 大学間協定書の契約書作成業務や、
- 国際アライアンスへの加盟交渉、
- 海外現地校開設のための土地取得の現地行政手続き、
等々を、学長直結の部署など(企画室や学長室といったところ)で行っています。
ネイティブでさえも辞書や専門サイトを見ながら苦戦しつつ業務をやっています
高度な英語スキルがある大学職員の場合
あるいはネイティブではなくても、海外の大学を卒業したくらいの高レベルの職員なら、
- 外国人教員の採用時に、雇用条件を英語で説明
- 留学生向けに英語だけの授業環境を整える
- 海外からの訪問団の受入れ窓口として各種調整をする
といった業務を行っています。
語学力を駆使する部署は少数
しかし、これらは全体の中で見ると、一部・特別・少数といった位置付けです。
例えば、職員数が500人クラスの総合大学※なら、トータルで5名〜10名が標準的です。
その他490人近くの職員にとっての日常業務は、日本語だけで十分に成り立っています。
※総合大学?「総合大学」とは複数の学部を持つ比較的大きな大学のこと。
対義語は「単科大学」や「複合大学」ですね。
ちなみに「複合大学」は分野特化型の大学、例えば看護学部と薬学部がある医療系大学、といったイメージですね。
大学職員と留学生対応の関係
あとは、国際センターといったような部署で、語学留学経験レベルの英語力は求められます。
ですが、そこではお世辞にも高度な英語力を駆使しているとは言えません。
外国人留学生などとの日常的なコミュニケーションが取れれば充分、といった感じです。
その他、国際交流の仕事内容については以下の記事に詳しくまとめてあります。興味のある方はどうぞ。
大学職員の採用面接での重要ポイント
ここからが重要ポイント。
- 採用時には英語力が「必要」
- 実際の仕事では英語力は「不要」
という事情をよく理解して職員への転職活動に臨んでください。
その上で、実際の内定者には、英語力が普通レベルかそれ以下の方が大半である事実もおさえておきましょう。
英語力に関する具体例
まず、実際に面接官を担当するのは、現場の大学職員であることを理解しておきましょう。
実務の現場感覚では、英語の達人なんかよりも、一緒に信頼して働ける職員であればそれで十分です。
そのため、現場職員が面接で評価する点は、人事部が作った美辞麗句の採用指針などではありません。
本質的な職員力があるかどうか、という総合評価で合否を決めてしまいがちです。
本質的な職員力というのは、主には、堅実で、慎重で、きっちりとしたタイプであるかどうかといった点ですね
その切り口の一つとしてみたときに、
「なぜTOEICの勉強を『堅実に』『きっちりと』やってこなかったのか」
といった切り口で質問するときはあります。
英語力不足についてというよりも、もっと本質的な意図をもった質問ですね。
そこの受け答えさえ的確にできていれば、英語力がないからといってそれ自体が致命的な不合格ポイントになることはありません。
例えば?
面 接 時 の ポ イ ン ト
例えば、
「社会的に英語が重要であることは承知していましたが、私の考えでは、その時間があればむしろ、今の仕事上でのスキル向上のための時間に充てていました。
目の前の仕事を、人一倍、より充実させることの方が、職場に貢献できると考えていたからです。
例えば今の仕事では、●●の知識が必要な部署ですので、その経験を積むために●●の習得に多くの時間を費やしていました。」
といった感じの受け答えで十分です。
まとめ
英語力に自信がない方
英語力がないと、まずは入口の段階で余計なネガティブ印象を持たれてしまいます。
英語力がないとやはりその点では不利です。
また、甲乙付け難い、1点を争う複数の応募者たちと横並びになった場合にも影響しますね。
この場合には、最後は客観的指標の英語力の優劣で決定されてしまう、といった感じで不利に働くこともあります。
しかし、大学職員の中途採用プロセスでは、デメリットはそれくらいです。
つまり、いくらでも他の要素で挽回できる程度の軽いデメリットです。
なので、致命傷として考える必要は一切ありません。
実際の内定者がそうなっているので、このことは事実そのものです
英語力に自信がある方
そもそも英語力が必要とされる部署への配属を前提にして、高度な英語力を高く評価して採用に至るケースはあります。
これはある意味、専門職・技術職を採用するような感じと一緒です。
しかしそれでも人物面はきちんと見られます。
ですので、高度な英語力がある方が、英語力を全面に押し出してPRしてしまうことは避けましょう。
海外の大学卒、帰国子女、といった経歴があれば、それだけでスキルは伝わります。
PRするべき点はやはり人間性とするべきです。
大学職員の年収事情や、採用面接、志望動機についてなども随時アップしていきます。
興味がある方は是非参考にしてみてください。