元大学職員のAI(あい)です!教務、国際、研究支援、経理、人事、学長室、と経験して20数年。早期退職を利用して、今は悠々自適に余生を送っています!大学職員としての経験談を全て公開中!
大学職員の転職面接でキャリアプランを語れるようになるために
大学職員を目指して転職活動中の方
書類は通過したのに面接で落ちました。
職員になってキャリアプランとか聞かれてもうまく答えられません。
内定者たちはどんな風に答えているんですか?
そんな悩みにお答えする記事です。
この記事は、大学職員のキャリアパスを5つの柱でまとめています。
少し長い記事ですが、読み終わると大学職員のキャリア観をイメージできると思います。
しかも、回りくどい余計なことは抜き!
面接に直結する話だけでまとめています。
では、まずは一つ目の柱の理解から。
大学職員のキャリアプラン【その1】「教学系部門」を経験する
教学系とは
一つ目は「教学系(きょうがくけい)」という考え方を理解することから始めましょう。
「教学」とは、大学を「教育機関」として見たときの呼び方です。
このあと説明する様々な大学の側面の中でも、一般の方々にとっては最も馴染みやすい視点だと思います。
※その他の柱は「法人系」と「研究系」。順番に紹介していきますね。
大学を教学系として見た場合の具体例は、
- 教務部や学生部
- 奨学金や国際課
- キャリアセンター
などのことです。
あとは「入試課」
も教学系の機関です。
どんなキャリアプラン?
教学系では、高等教育機関としての「学校」で業務を日々行います。
ここの部門を経験することで、学生の学び舎としての学校=大学が、どのように運営されているのかが深く理解できるようになります。
あらためて、
(面接官)「大学ってどんなことろだと思いますか?」
などと面接で聞かれた場合なども、以下のように理解しておくとよいでしょう。
大学の究極目的は「学位授与」。
入学→履修→定期試験→単位認定→進級→学位授与(卒業)
これが基本の流れ。
これを「正課(せいか)」と呼んだりします。
その究極目的の周辺に「課外(かがい)」と呼ばれるものがいくつか位置付けられます。
「課外」の例としては、
奨学金や留学、サークル・体育会、就職活動
などがありますね。
「正課」が大学の究極目的。
そして学生の人間的成長を、
「課外」を通して側面からサポートする、
というのが大学の基本構造です。
このフレームを、全てにおいて完璧に事務運営するのが大学職員の役割。
フレーズ的には、「学位を出すための組織運営」と言ったりします。
※ここは面接で使えるフレーズ!
この流れを、制度や理念に当てはめて事務運営していくうちに、高等教育機関の存在意義を深く理解できるようになります。
社会の動きとも連動
文科省など、国とも密接に絡んで仕事をすることになります。
なので、社会的な視点からも大学の位置付けを色々と見られるようになります。
例えば、日本も欧米のように「学費無償化」という流れがありました。
この場合、
- まずはマスコミや世論の動きが出始め(「日本の教育費は高過ぎるのでは?」という世論)、
- それが自民党の議論へとつながり、
- そして立法へ向けたロビイングが行われ、
- 行政機関(文科省)が具体案を作り(学費無償化の案)、
- その案の妥当性を各大学長が意見し、、、
といったことに、教学事務という仕事を通して密接に触れることになります。
教育を担う大学が、社会にとって重要な位置付けであることがイヤでも実感できるようになります。
以上が「教学系部門」のキャリアパスです。
続いて次は二つ目の柱、「法人系部門」を見ていきましょう。
大学職員のキャリアプラン【その2】「法人系部門」を経験する
法人系とは
人事や総務や管財、経理、広報、寄付金室などが法人系の部門です。
学生や教員や卒業生といった視点ではなく、
よく言う、
「ヒト」「モノ」「カネ」
の角度から「学校法人」を動かす経験を積めます。
どんなキャリアプラン?
法人部門を経験することで、「私立学校法」などという「学校法人」が社会活動するための根拠法などにも触れることになります。
いわゆる「大学=学校」という視点ではなく、
「大学=組織」つまり「大学=法人」
という企業的な視点が見えるキャリアを積めるようになります。
具体的には、
- 人を雇い、
- 賃金を払い、
- 収益計算をし、
- 不動産を取得し、
- 遵法行為をしながら、
- ブランディング活動をし、
- 企業価値を高める、
といった経験が積めるイメージです。
私立学校法
ところで、学校法人は、利益を生み出すといった目的は持っていません。
一方で、学校法人は、
「永続的に存在しなくてはならない」
という使命が、私立学校法で課されています。
理由は、扱っているものが企業のような商品やサービスではなく、教育だからです。
人生の重要なステージとなる大学が、流行り廃りや、浮き沈みが激しいようでは、国民の不安感情を煽ってしまうことになりかねません。
※ここは面接で使えるフレーズ!
なので、非常に厳密な管理運営が求められていることが大きな特徴。
また、私立大学といえども、毎年、数億円単位の税金が投入されています。
さらに、学校法人は納めるべき税金も数十億円単位で少ないので、間接的な利益を得ているとも言えます。
このように、大学は他の企業などと比べて、かなり厳格に事務運営がなされることが求められています。
※そのため、どうしても保守的な組織文化になりがちな点がデメリットでもあります。
続いて3つ目の柱、「研究支援部門」を見ていきましょう。
大学職員のキャリアプラン【その3】「研究支援系部門」を経験する
研究支援とは
研究支援系の部門は、教員の研究活動をサポートする部門です。
良い「教育」を提供するためには、
良い「研究」がその大前提になります。
そして、良い「研究成果」を出すためには、
良い「研究環境」が必須です。
※面接フレーズ!さりげなく使いましょう!
つまり、研究設備を整えたり、研究補助員を雇ったり、海外で学会発表したり色々あります。
それを事務サポートする部門が研究支援部門の仕事です。
※大学の中では、かなり本流の事務部門です!
研究機関としての大学
大学は「教育機関」であるとともに、「研究機関」でもあります。
※この二つは、似て非なる、全く別の概念!
大袈裟な話ではなく、研究があるからこそ、人類の進歩があるわけですね。
インターネット開発も、iPS細胞も、歴史研究も比較文化論も、全てが直接・間接に人間社会の何かしらの基盤になっています。
研究力の重要性
その研究の重要性は、近年さらに注目されています。
例えば「世界大学ランキング」も、この研究力の指標が強い大学ほど、
というか研究力の強い大学だけが上位に上がってきます。
医学、薬学、科学、工学、化学など、理系の大学が圧倒的に強いのが実態!
言い換えると、昨今の大学の本質的な評価は、教育力よりも研究力にあると言っても過言ではありません。
どんなキャリアプラン?
そんな「研究機関」としての大学がどのように組織だって活動しているのかが、研究支援部門で働くことで見えてきます。
- どんな研究に、いくら補助金が国から出されるのか。
- どんな海外研究者が、どんな研究にどれくらいのギャラで迎え入れられているのか。
- どんな研究に、どんな企業から共同研究の申し入れがきているのか。
そんなことを通して、研究機関としての大学の実情が読み取れるようになります。
※キーワードは、「研究資金」「論文数」「学会」といった感じです。
次は全私立大学のうち、32校もある、医学部を持つ大学でのキャリアプランです。
大学職員のキャリアプラン【その4】医学部・病院を経験する(医学部がある大学の場合)
医療もまた、人類社会に強烈なインパクトを与える存在であることは明らかです。
医学部・病院がある大学なら、そこで勤務することで、医療そのものの世界観を詳細に知ることができます。
また、臨床の現場だけではなく、制度としての医療の世界をも垣間見ることができます。
特に、全ての大学の場合は(大学病院は)、「高度医療機関」として法律上の役割をも担っています。
そのため、単なる街中にある病院の枠を超えて、医療先進国としての日本の医療政策にまで関わってくることになります。
※ここは面接で使えるフレーズ!
そのような経験とともに、研究者でもあり、医師でもある教員と日々関わることで、大学の重要な側面を経験できるキャリアプランとなり得ます。
大学の中で医学部が与える影響力はとてつもなく大きいものです。
そこでの経験はその大学を知る上でも重要なキャリア資産となります。
大学職員のキャリアプラン【その5】ジョブローテーション
以上のような切り口で、大学職員は3〜5年ごとに人事異動を繰り返して、それぞれの部門を横断的に渡り歩きます。
渡り歩いた結果、気がつけば大学のことが俯瞰して見れるようになり、ひいては日本全体の教育・研究・医療の状況などもどんどんと情報が頭に入ってくるようになります。
逆に、2〜3箇所だけの部署経験だと、実質的にはほぼ何も理解できていない状況に等しいです
面 接 時 の ポ イ ン ト
面接では、特定の領域に特化して働くのではなく、
「部門を跨って広く色々な経験をしてキャリアを積みたい」
といったコメントをすれば、大学のことをよくわかっているといった印象を与えられるでしょう。
その際、上記に説明してきた具体的なキーフレーズを入れることがポイントです。
大学職員の立ち位置
職員は経営情報の出入口
言うまでもなく、職員は舞台裏で動く裏方の事務スタッフです。
ですが、裏方とはいえ、上記のようなキャリアパスを踏むとどのようになるでしょうか。
大学運営のあらゆる機能面での実務経験を経ていくうちに、
職員はその大学の全ての実態を、詳細に把握してしまう立場になります。
経験値が増えるに従って、望むと望まざるとに関わらず、職員は全ての経営情報の出入り口になってしまうのです。
具体例
例えば、裏口入学などを架空の例に挙げてみましょう。
大学のお偉いさん(教員)が、ある政財界の大物有力者からの依頼で、特定の受験生に便宜を図ることについて話をまとめたとします。
しかし、それを受験処理から本番試験実施、採点処理、合格発表に至る複雑な実務に落とし込んで、その受験生を合格にまで誘導処理するには、実際に処理を行う事務のプロである職員が絡まないと全く話になりません。
この事務処理を抜け目なく適正に行わないと、そもそも話が前に進まないどころか、バレてしまった時の社会的信用の損失も計り知れないからです。
裏口入学のケースだと、付属や関連の小中高の裏口入学といった案件も絡んできます。
それらの状況を正確に把握しているのは、熟練の実働部隊である職員だけ。
研究一筋の権威あるお偉いさん(つまり大学教授)たちは、いざ大学の中で何かを動かそうとしても、実際に何をどうやればいいのかが全くわからず、手のつけようがないのです。
職員だけが具体的な形にできる
なので、お偉いさんや教員たちが色々と持ち込んてくる案件の対応は、全て職員に依頼せざるを得ません。
どれだけトップシークレットのものであっても、例外なく職員が絡みます。
そしてその依頼を受けた職員が、広く深い実務ノウハウを活かして具体的な形にします。
こういった構造になっているため、大学職員は大学経営の実態を隅から隅まで把握する立場になってしまうわけです。
面 接 時 の ポ イ ン ト
面接でキャリアプランなどを聞かれた時は、大学の中がこのような組織構造になっていることを理解して、自分なりの将来像を考えておくと有利になります。
例えば、
「大学の事務組織は、大きく分けて、教学系と法人系と研究支援系の3つの骨組みで成り立っていると理解しております。
職員人生の中では、3つの部門を全て経験しておくことが、将来、多くの方から頼られる事務職員として活動できると思います。
例えば、教学系だけの経験ですと、法人としての管理側面が見えないので、様々な案件に自信を持って対応することに躊躇するような気がします。
ですので、自分の好き嫌いやイメージにはとらわれず、できる限り幅広い領域の経験値を積むことが、私の当面のキャリアプランです。」
といった感じであれば、そこそこ良い印象を与えられるコメントになります。
逆に、典型的なNG例は、ただ単に夢を語るだけのようなキャリアプランを述べてしまうことです。
NGコメントをすると、面接官の頭の中はあきれ返った感じになっていますので、そこは十分に留意しておきましょう。
社会人経験がある以上、それにふさわしいレベルのことを準備しておくべきです。
最後に大切なお知らせです。
大学職員のキャリアプランを語るトレーニング方法
内定者たちは、要領よくツールを使ってこの記事のような情報を消化しています。
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大学職員のキャリアプランまとめ
大学職員のキャリアプランを5つの柱で語りました。
理解するだけではダメで、面接で重要なのは、「具体的なキーフレーズを語ること」です。
面接前に、何度もこの記事をふりかえって「フレーズ」を吸収してくださいね。
この記事では触れませんでしたが、「国際化」という切り口もとても重要です。
大学の国際化に関する職員の仕事領域について、こちらの記事もおすすめです。