大学職員の仕事内容は、転職市場では「安定」「ホワイト」といったイメージで語られることが多い仕事です。
ですが、元大学職員としての経験から言うと、実際の現場はそれなりにシビアな面があり、そして何よりも「かなり」地味です。
以下のように、大学職員の仕事内容は、一般企業の事務職とは少し異なる特徴があります。
- 履修登録の1つのミスが卒業判定に直結し、
- 入試で1つの確認漏れが受験生の人生を変えてしまい、
- 数億円規模の広大なキャンパス案件を担当することもある。
華やかさとは無縁で、教育現場を支える「制度の番人」のような仕事と言えるでしょう。
地味でお堅いお役所的な世界観にハマる人には最適ですが、逆に、そうでない人には耐え難い試練が待ち受けているかもしれません。
本記事では、大学職員の仕事内容を部署別に整理しながら、
- 楽と言われる理由の正体
- きついと言われる本当の理由
- 向いている人の具体像
- 面接で評価されるポイント
まで、現場目線で解説します。
大学職員という仕事のリアルを、全体像で整理していきましょう。
元大学職員のai(あい)です!教務、国際、研究支援、経理、人事、学長室、と経験して20数年。早期退職を利用して引退。大学職員としての経験談をPR記事として公開中!
※当サイトの「大学職員への転職支援コンテンツ」の全体像が掴めるスタート地点となる記事はこちらです。
👉 大学職員への転職ロードマップ(元大学職員編集)
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大学職員の仕事内容【全体像】部署別の役割を5分で理解
大学職員の仕事内容を一言で言うと、大学という組織を制度面から運営する事務専門職です。
まずは「全体像」からざっくりと理解していきましょう。
大学職員は「教学系」「法人系」「研究支援系」の3本柱
大学職員の仕事内容は、部署別に見ると大きく3つに分かれます。
- 教学系
- 法人系
- 研究支援系
大学職員の仕事内容を「部署別」に整理すると、次のような構造になります。
| 区分 | 一言でいうと | 主な役割 | 日常業務の具体例 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 教学系 | 学生と制度をつなぐ調整役 | 学生生活・履修・成績・卒業など学修全般の運営管理 | ・履修登録管理 ・成績処理、卒業判定 ・奨学金、サークル対応 ・入試 | ・対人調整が苦にならない ・クレーム耐性がある ・地道な確認作業が得意 |
| 法人系 | 大学経営を支える裏方の中枢 | 財務・人事・管財・広報など組織運営全般 | ・予算、決算業務 ・採用、労務管理 ・施設・設備計画 ・寄附金、広報戦略 | ・数字や制度に強い ・責任感が強い ・長期視点で物事を考えられる |
| 研究支援系 | 研究を裏から成立させる制度の番人 | 科研費・外部資金・契約・研究倫理など研究活動の支援 | ・研究費申請サポート ・外部資金管理 ・契約書確認 ・研究倫理手続き | ・細かい規程確認が苦でない ・正確性を最優先できる ・裏方志向が強い |
ほぼ、👆このうちのどこかの部署を、人事異動でバランスよく渡り歩いて、学内キャリアを積み上げていく感じです。
【教学系】大学職員の仕事内容
まず始めは、誰もがイメージできる学生部、教務部、国際部から紹介します。
これらの部署は、総称して「学生部門」とか「教学部門」と呼ばれたりします。
学生部の仕事(サークル・奨学金・学生対応)
「学生センター」とか「学生課」などと呼ばれることが多い部署から紹介します。
具体例として、学生のサークル活動を例に挙げてみましょう。
例えば、毎年、春になると、大学が学生サークルを公認するための仕事が発生します。
職員は、申請のための応募要領を作成、それを学内の掲示板やホームページなどで広報します。
そしてその手続き内容や必要書類などをチェックします。
地味で単調な仕事です。
しかし、それは表面的な話にすぎません。
ここから先が、単なる窓口業務を超えた職員のコア業務です。
⚫︎機関決定の段取りをする
職員は、このサークル申請を審査する学内の「会議」や「委員会」を手配します。
これは、大学の決め事は、事務部門が決めるわけではないからです。
サークルの公認と言えど、大学としての意思決定は、しかるべき会議体や委員会を通して決定します。
その事務的な舵取りをするのが職員の仕事領域。
⚫︎決裁機関
そして、大学内での決め事をする会議体や委員会のことを「決裁機関」と呼んだりします。
その決裁機関の構成メンバーは、学内の全ての学部から、バランスよく選出されて成り立っています。
⚫︎職員の具体的な動き
職員の動きは次のようなイメージです。
職員は、決裁に至る学内規定などを正確に把握して、
- スケジュールどおり、
- 不備なく適切に審議・決裁されるように、
- 関係他部署との事務調整で動き回る
といったことを意識しながら事務調整を進める役割を担っています。
ここではイメージしやすい学生サークルを公認する例を挙げましたが、他のどの部署も概ね同じような感じです。
⚫︎面接での回答テクニック
このように、職員の役割は、大学内に定められている制度を、
- スケジュールどおり、
- 不備なく適切に審議・決裁されるように、
- 関係他部署との事務調整で動き回る
というのが主な役割です。
とすると、面接やエントリーシートで、
といったようなコメントは、大学職員が裏方業務であることを認識できていないコメントであることがわかります。
一方、
といった感じであれば、職員像を理解できている好印象なコメントに早替わりします。
続いて、「教学系」の2つ目の部署を紹介しましょう。
教務部の仕事(履修・成績・卒業判定)
教務部の仕事は次のような感じです。
⚫︎教務部の仕事内容
- 授業・履修・教室の管理
- 定期試験・成績の管理
- 進級・卒業の管理
中規模以上の大学なら、経済学部の担当職員、とか、工学部の担当職員、といった感じで、学部ごとに専門の事務職員として配属されるケースが多いです。
これは、「学則」によってそれぞれの学部ルールが異なるからです。
⚫︎大半はシステム作業
職員は、自分が担当する学部の学則をプログラム化した、学内のデータベースを駆使して日々業務を行います。
例えば、中規模以上の大学だと、一つの学部で3,000人ほどの学生が在籍します。
教務部では、この学生全員の履修や成績データを、ソフトウェアを介してミス無く統計的に操作して管理するわけです。
具体例を見てみましょう。
⚫︎学生データの操作は結構複雑
例えば、学生一人あたり、4年間で40コマも50コマも授業を受けることになります。
学生総数が数万人を超える大学は珍しくなく、また、授業数が数千コマに及ぶ大学も珍しくありません。
留学先での単位や、教職課程などの個別対応も複雑に絡んできます。
これらを掛け合わせると数億パターンに及ぶデータベースを、
- 必修科目の充足状況や
- 選択科目の振り分け設定
- 定期試験の成績判定
- そして進級や卒業判定
などを、システムやプログラミングを駆使して判定しているわけです。
⚫︎教員との接点が多い
また、授業の担い手である教員との関係が密になります。
- 来年の授業を何コマ担当するか
- 科目名とシラバスの作成依頼
- 定期試験の問題作成・その採点依頼
等々、一つの学部に50人の教員がいれば、その50人全員と全ての調整を個別に行ったりしています。
⚫︎面接での回答テクニック
採用面接では、以下の視点で自己PRや志望動機に結びつけると、割とストライクゾーンに入りやすいです。
- 大学職員は全般的にそれなりのシステムスキルが必要です。採用時にもITスキル(ポテンシャルでOK)があると結構歓迎されます。
- 大学教授は基本的にわがままです。そんな中でも、うまく対人関係を築ける能力、もしくは築こうとする意識があることをPRしましょう。
✔️その他の面接テクニック
募集要項には割と改革思考の人物像を求めているように書かれていることも多いと思います。
仮に応募要領にそのような謳い文句が並んでいたとしても、そこは冷静に見極めて対応しましょう。
冷静に見極めておくべき理由は、
「一次面接の面接官は現場職員であるケースがほとんど」
だからです。
採用HPの「求める人材像」などに記載されている美辞麗句は、人事部の採用チームが打ち合わせでパンフレット化させた謳い文句。
一方で、実際に面接をするのは現場の職員です。
現場担当者は、自分たちの現場目線で合否感覚を作ります。
そのため、大学職員の本来の姿、つまり保守的で堅実なタイプとして売り込む方が、一次面接レベルは通過しやすくなります。
教学系の仕事の3つ目は、国際関係の部署について。
国際部の仕事(留学・海外連携・語学力の実情)
国際部の仕事内容について、次のような視点が気になるところでしょうか。
- 語学力はどこまで必要?
- 海外出張はある?
- 周りの職員はどんなキャリア?
その他、
- 希望すれば配属される?
- 海外オフィスでの勤務の状況は?
このような疑問にフォーカスした、国際部関係の仕事内容をこちらの記事で詳しくまとめています。👉 大学職員の国際交流の仕事内容【海外出張は?配属可能性は?語学力・TOEICはどこまで必要?】」
続いて教学系の4つ目、入試部の紹介です。
入試部の仕事(入試運営・ミスが許されない現場)
教学系の最後は入試部について。
入学試験は、一般の人でもイメージしやすい仕事内容の一つかもしれません。
それだけに、面接でも他の応募者と差が出にくいネタです。
ですが、入試の仕事内容の「的確な理解」はとても重要です。
入試のように誰でも馴染みやすい話題を、あえて出すときの面接官の質問意図は、
「どれくらい大学職員のことを調べて来たか」
をチェックする点にあります。
●面接での回答テクニック
入試関連の質疑応答は、他の応募者と「差が出にくい」と説明しました。
逆に言うと、ここで差を付けると「簡単に優位に立てる」と言い換えられます。
入試の仕事内容については、こちらの記事で深掘りしています。👉「大学職員の入試課の仕事内容【意外とITスキルが必要】転職活動の前に必須の知識」
民間企業の事務職との決定的な違い
民間企業の事務職では、一般的に業務の効率化や改善提案が重視されることが多いでしょう。
スピードや合理性が評価につながる場面も少なくありません。
一方、大学で強く意識されるのは「前例」と「整合性」です。
- 「これまでどう運用してきたか」
- 「規程や慣例と矛盾しないか」
- 「過去に問題はなかったか」
合理的に見える方法であっても、前例との整合が取れなければ慎重になります。
スピードより整合性、改善より安定運用が優先されやすい点に、この仕事の特徴があります。
このあたりが、民間企業の事務職と大きく異なる点と言えるでしょう。
教員(経営側)と職員(事務側)の違い
ちなみに、大学の改革を進めるのは経営側のポジションに立つ「教員(大学教授)」です。
- 新しい学部を作って次世代型の大学カラーを打ち出したい
- ⚫︎⚫︎工科大学を吸収合併して自然科学の分野を強化したい
- 中国やインドに新キャンパスを作って優秀な学生と研究者を受け入れたい
実はこういった大学改革は、かなり積極的に行われているのが実情です。
ただ、それを行うのは教員(経営側)の仕事。
職員は、ひたすら地味に、確実に、安定して、それらを手続き面に落とし込んで実行するのが使命、ということになります。
職員は「学生の味方」というイメージは本当か
大学職員は、予想以上に学生の味方とは「程遠い」存在です。
その理由は、大学職員は「制度の番人」だから、冒頭と同じ理由です。
例えば、履修申告の不備が理由で、たった1単位足りなくなったことで、留年が決まり、大手有名企業への内定を諦めざるを得なくなった学生の相談があったとします。
この時、職員が取るべき立場は「単位不足なので、卒業はできません」以外にあり得ないのです。
仮に、ここで大目に見てあげるとすると、対応する職員によって扱いが変わってしまう、という不安定な制度運用になり、むしろ信頼性が下がってしまします。
教学系がきついと言われる理由
教学系の部署の仕事の悩みは、主に、対人ストレスと、後ろ向きな業務へのストレスにあると言えるでしょう。
- 学生の相談に乗る時に、一切の融通を効かせられないストレス
- 教員の不条理な主張に、表面上付き合って対応しなくてはならないストレス
- もっと合理的なやり方があるのに、前例踏襲で物事を進めなくてはいけないストレス
どれも民間企業にはない、大学ならではのキツさと言えます。
教学系に向いている人の特徴
しかしながら、このような状況でも、上手くやっているのが大学職員です。
- 対人調整が苦にならない
- クレーム耐性がある
- 地道な確認作業が得意
このような方なら、大学事務の「教学系」でも活躍できるでしょう。
さて、次は「法人系」と呼ばれる業務領域の紹介に入ります。
【法人系】大学職員の仕事内容
まずは、資産・財産を管理する部署から見ていきましょう。
管財・施設管理(数億〜数十億規模の仕事)
管財部、と呼ばれるケースが多く、大学によっては施設部や管理部、法人部と呼ばれることも。
イメージが湧きにくいと思うので、少し紐解いてみます。
⚫︎土地からPCまで管理
- 大学は、広大な敷地とともに複数キャンパスを所有し
- キャンパスには校舎・研究室などの建物を多く持ち
- 校舎の中には膨大な数の椅子や机からPC・プロジェクター等があります。
大学は、これら全てを適切に管理する義務があります。
企業でも、外部監査への対策としても資産管理は必須の業務といえるかもしれません。
ですが大学の場合は、何よりも学生から預かった貴重な学費によって購入しているもの、という点が決定的な違いです。
⚫︎広大な敷地を管理
キャンパス、すなわち敷地は、大学経営の舞台そのものです。
管財部の仕事は、その所有者として、
- 不動産管理
- 税金対策
- 近隣住民への安全対策
等々を行います。
また、
- 隣接地の買収計画
- 遊閑地を賃貸に出して収益事業化
- 新たなキャンパス計画(敷地取得計画)
等々も先頭に立って実行します。
結果、扱う規模が、数億・数十億円単位の仕事になります。
⚫︎校舎・研究室などの建物を管理
土地だけではなく、資産は全て管財部が管理します。
例えば、
- 校舎の建替・補修計画
- 食堂や自習エリア拡充など学生の居心地を改善
- 記念ホールやグランドなどの管理
なども管財部の守備範囲です。
⚫︎PCやプロジェクターなどの備品まで管理
不動産だけではなく、動産も全て管財部の事務フィールドです。
- ホワイトボード、電動カーテン、モニターの買い替え計画
- エアコンや照明設備のリニューアル計画
- 自動ドアやエレベーターのメンテナンス等々
このような業務を「償却資産を管理する」業務と表現します。
こんなフレーズを面接で使えると、中途採用らしくていい感じかもしれません。
⚫︎契約案件の管理
大学が主体となる契約関係も、管財部が対応します。
- 学内Wi-Fi等の整備のため通信事業者と契約
- 車、サーバーなど大型備品のリース契約
- 生協、ATM、コンビニ、自販機設置などの契約
「外部に業務委託する」割合は、いかに支出をおさえるかとのせめぎ合いで、日々コスト管理との戦いでもあります。
⚫︎施設管理
ソフト面でも結構いろいろあります。
- 大臣などが学内講演する際などに、SPを配置するなど警察と連携して安全対策
- 清掃業者と調整して、早朝・深夜に学内衛生管理
- 天災、震災、学内事故・事件などの危機管理対応
防犯カメラのモニタリングなどもやっています。
といった感じで、管財部は大学の資産・財産を網羅して把握し、それらを職員が管理・運営しています。
⚫︎面接での回答テクニック
管財部は、大学事務部門の中でも主流の部署です。
採用面接などでは、
- きっちりとした性格でマメなタイプ
- やりくり上手な支出管理ができる性格
- 契約書や行政手続等の書類仕事が苦にならないタイプ
などをアピールすると、面接官には好印象を与えられます。
大学は寄付を受ける立場
続いて寄附金を扱う部署の紹介です。
ここも大学ならではの部署です。
⚫︎寄付金管理は重要戦略
卒業生などからの寄附金を大学の貴重な財源とし、そこを重要戦略としている大学は多いです。
寄付金を財源として校舎を建て替えたり、寄付者の名前をつけた記念ホールという名目で名物校舎を作るなど。
寄付が多いと大学の価値も上げやすいです。
⚫︎職員の仕事内容
その寄付は、高額寄付者だけで成り立っているわけではありません。
1人1,000円でも寄付は成り立ちます。
そのため、例えば5億円を目標とした募金キャンペーンを実施した場合は、寄付の受付数は数万件以上にのぼります。
これら全ての寄付者に誠意を尽くして職員が対応し、丁寧に細かく寄付手続きの説明をするのが職員の仕事になります。
⚫︎仕事で苦労する点
寄付の手続き自体は、書類をかわす程度なのでそれほど複雑ではありません。
ですが、ある寄付者が今回は1万円の寄付だったとしても、同じ方が以前に1,000万円の寄付実績がある、といったこともあり得ます。
ご年配の方などは、札束を抱えてアポなしでフラッと寄付金課に立ち寄ってきたりしますので、それが何百万円にものぼる場合は、札束を数えるだけで神経が消耗します。
⚫︎寄付の御礼を形にする業務
また、大学としての誠意のあらわれとして、
- 大学グッズや機関誌を贈る
- 寄付者銘板(校舎に氏名を刻み込むみたいな)を作成する
- 御礼の会合(寄付者を一斉に招待して学長と一緒に立食パーティみたいな)などを開催する
などのパフォーマンスを行うことも必要になってきます。
⚫︎なぜ寄付をしてくれるのか?
社会には、数億円規模で惜しみなく寄付をしてくれる方が結構存在します。
その理由は、端的に、寄付をした方がその人にとって税制面で有利だからです。
寄付することで利益や所得を圧縮し、課税所得を減らすことで、法人税や所得税も減るからですね。
だからこそ、大学も寄付には重点的に力を入れるわけです。
ここで、大学をより深く知るにあたっては、同じ寄付でも「基金」という仕組みがあることを知っておきましょう。
⚫︎基金とは
基金とは、得られた寄附金を、使わずに運用に回すようなものです。
そしてその運用益を、大学の研究・教育活動に充てていくやり方です。
例えば、寄附金として得た10億円を「基金」として運用し、その運用実績、例えば年率3%であれば3千万円を、学生の奨学金などに、毎年、還元していくやり方です。
この基金戦略は、昨今の大学にとっては重要戦略の一つとなっています。
早い段階から基金の拡充に着手してきた大学などは、今や数百億円規模の運用基金を持っているところもあります。
⚫︎面接での回答テクニック
採用面接の際も、こういった寄付金戦略などのキーワードを散りばめてコメントすると、社会人の応募者らしくて好印象につながります。
例えば、軽いtipsとして、米国バーバード大学やイェール大学などは、2兆円から4兆円規模の基金を作り上げていること(=世界最大規模)なども、さらっと交えながらコメントできれば、面接官側も「おっ」と思ってくれるでしょう。
人事(教職員採用・労務管理)
続いて、総務・人事・経理に関する仕事内容。
もちろん、企業にも同じ部署はありますね。
ここはあえて仕事研究などしなくてもいいのでは?と思われるかもしれません。
ですが、同じような部署でも大学ならではのエッセンスを抽出可能です。
そうすると、企業と公的機関の線引きが際立ち、大学の理解がより深まるでしょう。
ここは重要なので、別の記事で詳しくまとめています。👉「【大学職員】総務・人事・経理の仕事内容→面接で使えるネタです」
広報戦略(大学経営の生命線)
続いて広報部の仕事です。
大学事務の中では、唯一、創造性がある業務と言えるかもしれません。
⚫︎職員組織の立ち位置
とはいえ、事務組織である広報部は、その運営方針を決定しているわけではありません。
職員は、運営方針の「案」をたくさん立案する役割だけを担っています。
- SNS新規立ち上げ案
- 予算の見積もり
- 導入効果のプレゼン
等々を、客観的な根拠を示しながら資料として形作るだけです。
⚫︎経営方針の決定機関
そして、その案は、主に教員で構成される広報関係の戦略会議で審議されます。
その会議体での審議結果を受けて、はじめて職員は、決定事項通りにWeb制作業者などに発注して作業を進めていくことになります。
⚫︎決定権のある審議体は教員で構成されている
ちなみに、このような意思決定をする会議体の構成員は、9割方、教員で構成されています。
それらの教員は、全学部から数人ずつ、バランスよく選出された教員たちです。
⚫︎会議の実態
ところが、構成員である教員は、上司である学部長からその委員をやってくれと頼まれたから仕方なくやっている、といった感じが一般的です。
そもそも教員というのは、研究業績こそが研究者としての生命線なので、研究活動だけにエネルギーを注ぎ込みたいのが本来的な教員のスタンスです。
ですので一般的な教員感覚は、「お役目だから仕方がない」といった感じで会議に出席しています。
結果、特に深い議論もなく、会議は早めに終わるのが実情です。
⚫︎職員のやりがい
このような事情から、実際は職員がうまいことコントロールして事務側が思い描く方針で広報戦略をマネジメントできたりします。
まさに官僚のようなイメージですが、戦略を立てるのが楽しくて仕方がない、といった職員にとっては、やりがいを感じられる土壌になっています。
その他、広報部の仕事内容は多岐にわたります。
⚫︎研究業績を広報する
例えば、学内の研究者が、学術的な表彰を受けたとします。
そういった場合、広報部がそのトピックをいち早くキャッチしてプレスリリース、大学のブランド価値を高めていくことも重要な戦略です。
⚫︎教育面を広報する
研究面だけではなく、教育面にも目を光らせておく必要があります。
例えば、海外の有力大学と新たな交換協定が始まったとします。
となると、その相手大学の詳細を把握してプレスリリースし、国際色豊かな大学として世間にアピールしたりします。
⚫︎学生活動を広報する
また、学生の体育団体が全国大会の決勝戦やオリンピックに出るようなときは、当日の試合会場に足を運んで取材・撮影などを行います。
休日勤務が発生することも多くなりますが、球場やスタジアムでの仕事はそれなりに気分が高揚するので、やりがいも感じられるかもしれません。
⚫︎マスメディアとの付き合い
さらに、マスコミ各社との付き合いも重要です。
多方面に渡って取材申請が入ってくるため、その取材価値を見極めて判断をする必要があります。
日常的に記者やライターとコミュニケーションを取り、様々な情報交換を繰り返して大学のブランディング向上に日々いそしんでいくことが求められます。
法人系に向いている人の特徴
管財課・寄付金課・広報課と紹介してきました。
この辺りの法人系部署に向いている人は、
- 緻密でマメなタイプ(管財課)
- コミュ力が豊富なタイプ(寄付金課)
- 戦略的な思考が得意なタイプ(広報課)
といった感じでしょう。
法人系のキャリアパス
とはいえ、注意したいのは、大学職員のキャリアパスは、特定のスキルの専門家に育てられるわけではない点です。
学生部で3年勤務、その後、人事異動で管財課に3年、またまた異動で研究支援課に、と、横断的に職域を経験することが一般的。
異動して間もない頃は、仕事はもちろん、通勤や人間関係まで、あたかも転職したような感覚がしばらく続きます。
一見、キツそうに思えるかもしれませんが、10年単位で振り返ると、大学運営の大体のことが語れるようになってきます。
採用面接でも、そのようなメタ視点でご自身のキャリア感を打ち出せれば、とても柔軟性があって、面接官に良い印象を持たれるでしょう。
👉 さらに深掘りして面接にのぞみたい人は、「大学職員の面接でキャリアプランを聞かれたらどう答える?具体的フレーズで面接対策をしよう!」を参考にしてみてください。
【研究支援系】大学職員の仕事内容
さて、大学の3つの柱の最後、研究支援系の仕事内容についてです。
研究支援とは、教授の研究をサポートする部門の仕事です。
教授の研究をサポートする部門
研究支援部などといった呼び方をされていて、これもまたどこの大学にも必ずある部門です。
⚫︎補助金の管理
研究をサポートする、と聞くとアカデミックな印象を受けるかもしれません。
しかし実際は、補助金の申請業務と、その補助金の管理業務がメインです。
職員の仕事を見る前に、まずは、研究者の動きを理解すると、よく理解できると思います。
⚫︎研究活動とは?
教員が研究を進めるにあたっては、研究費が必要不可欠です。
研究とはすなわち「論文発表」、端的に、これがその最終目的になります。
論文発表こそが研究者の生命線で、その論文作成のために、
- 書物が必要
- PC、PCソフト、プリンターその他周辺機器が必要
- 学会登録費が必要
- 国内外への出張が必要
と、様々な経費がかかります。
この経費を国が補助するという仕組みで、日本の学術文化の発展は成り立っています。
⚫︎職員の仕事内容
ここで職員の出番となります。
研究費補助金は税金で成り立っていることがほとんどなので、その申請手続きは冗談抜きで細かく、煩雑で、膨大です。
その補助金の申請手続きだけで、本来の研究時間が大幅に裂かれると言っていいほど大変です。
これを、職員が事務面でサポートしているわけです。
⚫︎不正対策
また、研究費の使用は、公私の区別がつきにくいことも多くあります。
研究活動という名目で、書籍やPCや出張を不正利用するケースが後をたちません。
これを防ぐために、補助金ごとに、物凄い量のルールが定められているわけです。
職員は、そのルールを、補助金内容ごとに全て正確に把握します。
不正と疑われそうな使い方とならないように管理し、年度末には、適正な補助金使用実績報告書を、大学の名誉を背負って作成します。
万一、「不正」と指摘されるとマスコミの格好のネタ。
報道に至ると大学の名誉はガタ落ちします。
⚫︎仕事で苦労する点
研究活動で発生した領収書や請求書や参加証明書など、全てをルールどおり的確に管理する仕事が職員のメイン業務。
ルールがあまりに細かい上、一見、不条理なルールも多いです。
そのため、教員の理解が得られず、その点で職員が苦労する場面が多いことも特徴。
「そんな証明書、あるわけないじゃないか!!常識的に考えろ!!」
と、研究者の怒りの矛先が職員に向けられるケースがあったります。
⚫︎理系の研究費管理
さらに、大学での研究と言うと、メインは自然科学系になります。
いわゆる理系の領域です。
工学や薬学、エネルギーや建築などの研究機器や研究設備は、どうしても高額になりがちです。
例えば、ニュートリノ研究では、研究施設構築費だけで100億円以上、年間維持費だけで20億円以上、といったイメージです。
さらに、医学部がある大学は、それだけで他の大学よりも研究費がさらにケタ2つほど異なってきます。
逆に、人文・社会科学系は金額的にはかなり少ないです。
⚫︎経理業務に近い仕事内容
このように、研究支援部は研究費=お金を管理することがメイン業務なので、実際はお金の支出管理を適切に行う経理業務に近いという言い方ができます。
⚫︎面接での回答テクニック
理系の学部が強い大学や、医学部、薬学部があるような大学では、この研究支援部の存在感は大きいです。
膨大な額にのぼる研究資金を、国によって定められたルールを漏らさず理解した上で管理する必要があるからです。
採用面接では、👆この辺りの視点を自分なりの経験や言葉に置き換えてアピールできれば、適性としては好印象につながるでしょう。
次が最後です。
外部者にとってはなかなか知る機会がない、その他の大学職員の主な部署を紹介します。
【その他】大学職員の仕事内容
大学職員を目指している方なら把握しておきたいところは次のような部署になります。
- システム関連
- 図書館
- 付属小・中・高等学校
- 卒業生関連
いずれも詳細まで理解することは不要です。
このような部門がメインとして位置付けられているんだ、くらいの理解で大丈夫。
システム部・図書館
システム部や図書館などは、実は、学内予算規模がケタ違いに高いトップ2の部署と言えます。
言われてみればそうかもしれないけど、皆さんにとっては意外と盲点ではないでしょうか。
両部署の所属職員数も圧倒的に多数なのが通常です。
つまり、学内でも影響力が大きな部署と言えます。
とはいえ、システム部も図書館も、職員採用のルートとしては、7〜8割程度を専門職採用の形態で採用している大学が多いです。
いずれも、修士・博士号の上位学位を持っている職員が多いことも特徴のひとつ。
逆に、一般職員であっても、システム部や図書館に配属となる可能性はあります。
幅広い視野が必要なジェネラリスト職員は、こういったスキル重視の部署の経験も、一定期間積んでいくことが必要だからです。
付属小・中・高等学校
大学職員とはいえ、雇用主は学校法人です。
そのため、組織上同じ学校法人であれば、付属の小中高等学校に人事異動で配属されることは普通にあります。
ちなみに、大学は、監督省庁である文部科学省、つまり国のルールを遵守して運営されていますが、小中高等学校の場合は、管轄が東京都や大阪府などの地方自治体に変わります。
従って、ベースとなるルールが違ってくるといったことを知識としておさえておきましょう。
また、「付属校」ではなく、「系列校」や「提携校」、となっている場合は別法人であることの方が多いです。
この場合、系列校や提携校は別法人なので、職員の人事異動の対象ではありません。
卒業生関連
卒業生に関連した事務を扱う部署は、大学ならではの部門ですね。
やっている仕事内容は、
- 卒業生の名簿管理
- 卒業生向けの機関誌発刊
- 大学主催の同窓会開催
といったことが主な業務内容です。
大学は卒業生あっての組織でもあるので、学内での位置付けも重要度は高い方。
関連して、寄附金が集まりやすいのも特徴です。
例えば、新しい校舎を建てるという名目で、3年をかけて10億円の募金活動を卒業生に対して行う、といった一大キャンペーンが実施されたりします。
そのような時に、職員はその目的達成のための実働部隊として活躍することになります。
その大学の卒業生が社長を務めている企業などに出向いて、母校への寄付のお願いをして回るといったこともやります。
意外かもしれませんが、こういった仕事になると寄附金ノルマ達成率などの成績ベースで執務評価が行われたりもします。
FAQ:よくある質問
- Q年収はどれくらい?
- A
Aランクレベルの私立大学なら、日本人の平均年収と呼ばれるレベルの5割増しくらいの感覚です。30代で700〜800万、40代中頃に1,000万、といったイメージです。また退職金も高めで、かつ企業年金制度が整っている大学がほとんどです。
- Q大学職員に語学力は必要?
- A
語学力は、あるに越したことはありません。しかし一方で、英語ネイティブな職員や、中国人職員なども増える傾向なので、専門的なことは彼・彼女らに任せられています。実際はメール、資料、簡単なコミュニケーションができるレベルで実務上は問題なくやっていけます。TOEIC L&Rで700以上のスコアがあれば理想的です。
- Q異業種からの転職は可能?
- A
全く問題ありません。大学職員の多くはスキル採用ではなく、「第二新卒採用」の形式が多いからです。とはいえ、採用時には、実り多い社会人経験が重視されるため、新卒と同じようなポテンシャルしか出せないと、業種に関係なく厳しくなるでしょう。
- Q配属希望は通る?
- A
基本的には希望は通りません。個人の希望を優先すると、事務部門の偏りが生じて、最重要である事務の安定性が損なわれるからです。組織の論理が最優先されるのが通常です。
- Q異動は多い?
- A
異動は多いです。目安としては、10年で3部署を経験する、という風に言われます。
まとめ:大学職員という仕事の本質
大学職員という職種を、簡潔にまとめると以下のように表現できます。
- 「裏方」➡︎イノベーティブである必要はない
- 「制度執行者」➡︎価値を生み出す必要はなし
- 「調整のプロ」➡︎意外と対人ストレスはあり
このような視点を軸にして、効率的な面接対策を行ないましょう!
以上です!
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👉 大学職員への転職ロードマップ(元大学職員編集)
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