私立大学職員の面接では、
「採用されたらどんなキャリアプランを描いていますか?」
と聞かれることがあります。
しかし、
- 大学職員のキャリアパスはどうなっているのか
- どんな部署を経験するのか
- ジョブローテーションはあるのか
こうした情報は、意外と得にくいのではないでしょうか。
この記事では、元私立大学職員の視点から
- 大学職員のキャリアプラン
- 主要な3つの柱となる部門
- ジョブローテーションの実態
を分かりやすく解説します。
元大学職員のai(あい)です!教務、国際、研究支援、経理、人事、学長室、と経験して20数年。早期退職を利用して引退。大学職員としての経験談をPR記事として公開中!
※当サイトの「大学職員への転職支援コンテンツ」の全体像が掴めるスタート地点となる記事はこちらです。
👉 大学職員への転職ロードマップ(元大学職員編集)
大学職員のキャリアプランとは?【結論】
大学職員のキャリアプランは、一般的に、以下の3つの部門を渡り歩くことで経験を積み上げていきます。
- 「教学系」の部門
- 「法人系」の部門
- 「研究支援」部門

👆この3つを切り口に、キャリアの土台となる具体的な部署を一覧にしたのが以下の表です。
| 部門 | 主な部署 |
|---|---|
| 教学系 | 学生部・教務部・就職部・国際部・入試部 |
| 法人系 | 財務部・人事部・管財部・広報部・理事長室 |
| 研究支援系 | 科研費・外部資金・契約・研究倫理など多数 |
| 病院(医学部ありの大学) | 医療事務・経営戦略部・臨床研究支援 |
まずはここが大前提です。
大学職員はジョブローテーションが基本
そして「教学系」「法人系」「研究支援系」の、全く異なる職域を、それぞれ3〜5年で異動を繰り返すのが基本的なキャリア形成です。
その結果、中堅クラスのポジションになってきた頃には、大学全体を理解して活躍ができるようになっていくわけです。
それぞれ、面接対策を交えながら詳しく見ていきましょう。
大学職員のキャリアプラン【その1】教学系部門
まずは一つ目の柱、「教学系」というキャリアを理解することから始めましょう。
教学系とは
「教学」とは、大学を「教育機関」として見たときの呼び方です。
大学の側面の中で、最も馴染みやすい視点だと思います。
教学系の具体例(主な部署)
大学を教学機関として見た場合の具体的な部署は、
- 教務部や学生部
- 奨学金や国際課
- キャリアセンター
などのことです。
あとは「入試課」も教学系の部署です。
教学系は「学校業務」のキャリアパス
教学系では、高等教育機関としての「学校」で、日々業務を行います。
ここの部門を経験することで、学生の「学び舎」としての学校=大学が、どのように運営されているのかが深く理解できるようになります。
そもそも「大学とは何?」と聞かれたらどう答える?
あらためて、
(面接官)「大学ってどんなところだと思いますか?」
などと面接で聞かれた場合などは、以下のように理解しておくとよいでしょう。
大学の存在意義は「学位授与」機関
大学の究極目的は「学位授与」にあります。
入学者選抜➜履修➜定期試験➜単位認定➜進級➜学位授与(卒業)

ここが、大学の根本であり、超重要な存在意義です。
これを「正課」と呼んだりします。
正課をサポートする「課外」も重要
その究極目的の周辺に、「課外」と呼ばれるものが位置付けられます。
「課外」の例としては、
奨学金、サークル、体育会、就職活動
などがあります。
本来は「正課」が大学の究極目的。
ですが、学生の人間的成長を、「正課」にぶら下がる「課外」活動とセットでトータルサポートする。
これが大学の基本構造です。
大学事務の役割は「学位を出すための組織運営」
このような基本構造を完璧に事務運営するのが大学職員の役割です。
フレーズ的には、
学位を出すための組織運営
と言ったりします。
※ここは面接で使えるフレーズ!
この流れを、制度や理念に当てはめて事務運営していくうちに、高等教育機関の存在意義を深く理解したキャリアを積むことができます。
ちょっとした具体例で深掘りしてみましょう。
教学部門の仕事で理解できる大学の役割
教学系では、文科省など、国とも密接に絡んでキャリアを積み上げることにもなります。
この経験は、社会的な大学の存在価値を色々と見られるようにもなります。
教学事務の例
例えば、日本でも欧州のように授業料減免の政策が進んでいます。
この場合、
- まずはマスコミや世論の動きが出始め(「日本の教育費は高過ぎるのでは?」という世論)、
- 各方面から、立法へ向けたロビイング活動が行われ、
- それが政府与党の議論へとつながり、
- 行政機関(文科省)が具体案を作り、
- その案の妥当性を各大学長などの諮問機関で取りまとめる、、、
といったことに、教学職員は事務的に密接に関わることになります。
例えば、各大学の授業料推移やデータ収集、学生数や教員数との相関性、海外大学に出張して情報交換などまで行います。
このような事例を繰り返し経験していくことで、教育が社会にとっていかに重要なのかが、客観的に語れるようになっていくわけです。
以上が「教学系部門」のキャリアパスのイメージです。
私立大学職員の仕事内容を、面接前に網羅して確認しておきたい人はこちらの記事が参考になると思います。👉大学職員の仕事内容とは?【元職員がリアル解説】部署別業務と向いている人
続いては二つ目の柱、「法人系部門」を見ていきましょう。

大学職員のキャリアプラン【その2】法人系部門
人事や総務や管財、経理、広報、寄付金室などが法人系の部門です。
法人系とは
法人系では、学生や教員や卒業生といった視点では「なく」、「ヒト」「モノ」「カネ」、の角度から「学校法人」を動かす経験を積めます。
法人部門の主な部署
法人系部門に位置付けられる主な部署は、以下のとおりです。
- 人事・経理・総務
- 管財・広報
- 寄付金・卒業生
このように、「学校」というイメージから離れて、「法人(学校法人)」を運営する側面が強くなります。
法人系のキャリアプラン
法人部門を経験することで、「私立学校法」など、「学校法人」が社会活動するための「根拠法」などにも触れることになります。
企業的なキャリア
いわゆる「大学=学校」という視点ではなく、
「大学=組織」つまり「大学=法人」
として、企業的な視点でキャリアを積めるようになります。
法人業務の具体例
法人業務の具体例を言い表すと、

- 人を雇い
- 賃金を払い
- 収益計算をし
- 不動産を取得し
- 遵法行為をしながら
- ブランディング活動をし
- 企業価値を高める
といったキャリアが積めるイメージです。
大学は「私立学校法」のもとにある
ちなみに、学校法人は、利益を生み出すといった目的は持っていません。
そうではなく、学校法人は、
「永続的に存在しなくてはならない」
という使命が、私立学校法の前文に明文化されています。
利益を目的にしない理由
その理由は、
扱っているものが教育だからです。
人生の重要なステージとなる大学が、流行り廃りや、景気の影響を受けるようでは、国民の不安感情を煽ってしまうことになりかねません。
※ここは面接で使えるフレーズ!
なので、非常に厳密な管理運営が求められていることが、企業における管理部門と決定的に異なる前提です。
私立学校も国民負担で成り立っている
また、私立大学といえども、毎年、数億円〜数十億円規模の公金が投入されています(これを「私学助成」と言います)。
さらに、学校法人は、納めるべき税金も数億円単位で「少ない」ので、間接的な利益を得ているとも言えます(学校法人は「法人税」が免除されています)。
このように、私立大学は国民負担の上に成り立っていることを肌で体得できるため、厳しいコンプライアンス意識や、古典的なガバナンス統治に従うことも、法人部門でキャリアを積むことの意義と言えます。
※ここも面接で上手に使いましょう。「的確に理解できている」ことをアピールできます!

続いて3つ目の柱、「研究支援部門」です。
大学職員のキャリアプラン【その3】研究支援系部門
研究支援系の部門は、教員の研究活動をサポートする部門です。
研究支援とは
- 良い「教育」を提供するためには、
- 良い「研究」がその大前提になります。
- そして良い「研究成果」を出すためには、
- 良い「研究環境」が必須です。
※面接フレーズ!さりげなく使いましょう!
つまり、研究設備を整えたり、研究補助員を雇ったり、海外で学会発表したりと、研究活動は幅広くカバーする必要があります。
それを事務サポートする部門が研究支援部門の仕事です。
※大学の中では、かなり本流の事務部門です。
研究機関としての大学
大学は「教育機関」であるとともに、「研究機関」でもあります。
※この二つは、似て非なる、別の概念!
大袈裟な話ではなく、研究があるからこそ、人類の進歩があるわけですね。
インターネットも、iPS細胞も、歴史研究も比較文化論も、全て研究が生み出したものです。
研究支援の主な業務
研究支援系の部門に位置付けられる主な部署は、以下のとおりです。

- 国からの研究費補助金(公的補助)
- 企業・団体などからの外部資金
- 国内外の研究機関との共同研究
「公的補助」の具体例としては、いわゆる「科研費」(=「科学研究費助成事業」)などが挙げられます。
研究力と世界大学ランキング
大学における研究の重要性は、近年さらに注目されています。
例えば「世界大学ランキング」は、この研究力の指標が強い大学ほど、というか、研究力の強い大学だけが上位に上がってきます。
大学は教育力よりも研究力
世界大学ランキングでは、医学、薬学、科学、工学、化学など、理系の大学が圧倒的に強いのが実態。
言い換えると、昨今の大学の本質的な評価は、研究力の指標が強く影響すると言っても過言ではありません。
研究支援系のキャリアプラン
そんな「研究機関」としての大学がどのように活動しているのかが、研究支援部門で働くことで見えてきます。
- どんな研究に、いくら補助金が国から出されるのか
- どんな海外研究者が、どんな研究で迎え入れられているのか
- どんな研究に、どんな企業から共同研究の申し入れがきているのか
そんなことを通して、研究機関としての大学の実情が読み取れるようになります。
※キーワードは「研究資金」「論文数」「学会」といった感じです。
以上が研究支援系についてでした。
次は医学部を持つ大学でのキャリアプランです。ここは極めて重要なキャリアパスです。

大学職員のキャリアプラン【その4】医学部・病院
医療もまた、人類社会に強烈なインパクトを与える存在であることは疑う余地がありません。
医学部・病院がある大学なら、そこで勤務することで、医療そのものの世界観を詳細に知ることができます。
大学病院は「特定機能病院」=「高度医療機関」
大学病院は一般の病院とは少し性格が異なります。
多くの大学病院は、厚生労働省が指定する特定機能病院に該当します。
特定機能病院とは、医療法に基づき、
- 高度医療の提供
- 医療技術の開発
- 医療人材の教育
を担う日本国内における中核的、かつ、最先端の医療拠点として位置付けられています。
つまり大学病院は、
診療・研究・教育
この三つを、ハイレベルで、同時に担う特殊な医療・研究・教育・人材育成機関なのです。
医学部におけるキャリアプラン
大学職員は、この医療・研究・教育の現場を事務面から支えます。
具体的には、
- 医局事務
- 研究費管理
- 臨床研究の事務手続き
- 医療関連の行政対応

などです。
医学部は大学の中でも最大規模の組織
また、医学部・大学病院は大学の中でも、財政規模や組織影響力が飛び抜けて大きい部門です。
- 医療収入だけで大学全体の半分以上(数百億〜1,000億円規模)
- 獲得する研究費も、他の学部とはケタ違い(数百億円規模)
- 人員(教職員+看護師)も全体の過半数(数千人規模)
といったイメージです。
そのため、この部署を経験することは、大学の最大部門を知ることに繋がり、全体を理解するうえでも重要なキャリアになります。
冗談抜きで、学内政治や権力闘争などの生々しい現場にも立ち会うため、「大学のリアル」を知る上で、ある意味重要なキャリア資産になり得ます。
大学職員のキャリアプラン【その5】ジョブローテーションが基本
以上のような切り口で、大学職員は3〜5年ごとに人事異動を繰り返して、それぞれの部門を横断的に渡り歩きます。
渡り歩いた結果、気がつけば大学のことが俯瞰して見られるようになり、ひいては日本全体の教育・研究・医療の状況を吸収することになります。
人事異動は3〜5年ごと
大学職員は、比較的、人事異動が多い業種です。
よく言われるのが、「10年で3部署を経験」するのが目安と言えるでしょう。
大学職員のキャリアプランの全体像
大学職員の典型的なキャリアプランは、冒頭で紹介した部署リストを、ひとつひとつ幅広く経験していくことがほとんどです。
例えば、
- 国際部でキャリアスタートし(20代)
- その次は財務部(20代後半)
- その次は入試部(30代)
- そして研究支援(30代後半)
といったイメージ。
毎回、全く異なる別の部署。
未経験のキャンパスなどへの異動も普通にあり得ます。
毎回、まるで転職したかのようにゼロ知識から再スタートする感覚です。
大学職員のキャリアプランが企業と違う理由
大学職員のキャリアパスを、企業との違いで見たときは、以下のように表現できます。
- ジョブローテーションが基本➜転勤とは違う
- スペシャリストよりもジェネラリスト養成➜幅広いキャリア形成
- 法人と教育と研究の三本柱の経験➜ここが企業と決定的な違い
- 学費や公的補助金をベースに働く➜公務員的な側面
さて、ここまでの話を前提に、最後は、面接対策にどう落とし込むかをみていきましょう。
大学職員のキャリアプランを面接でどう答えるか
「大学職員のキャリアプランを面接でどう答えるか」の評価される回答例は、次の3パターンが使いやすいです。
ポイントは以下の3点です。
- 特定部署に固執しない
- 大学の3機能(教育・法人運営・研究)に触れる
- ジョブローテーション理解

その前提で、実際に使える回答例を示します。
回答例①(最もオーソドックス)
大学は教育機関であると同時に研究機関でもあり、さらに学校法人としての運営も重要だと理解しています。
そのため、特定の部署だけではなく、教学系・法人系・研究支援系など複数の部門を経験しながら、大学運営を幅広く理解できる職員になりたいと考えています。
✔ 面接官の評価ポイント
回答例②(やや高レベル)
大学の使命は学位授与を通じた教育と研究の発展だと考えています。
そのため、まずは教学部門で学生支援や教務業務を経験し、その後は法人部門や研究支援部門なども経験しながら、大学を教育機関・研究機関・法人の三つの視点から理解できる職員を目指したいと考えています。
✔ 評価ポイント
回答例③(理解が深い回答)
大学職員は特定分野の専門職というより、ジョブローテーションを通して大学全体を支えるジェネラリスト職だと理解しています。
教学部門、法人部門、研究支援部門など複数の部署を経験しながら、教育・研究・大学経営の全体像を理解し、将来的には大学全体の運営に貢献できる職員になりたいと考えています。
✔ 評価ポイント
大学職員のキャリアプランのNG例
NGな例は、以下のような文脈でキャリアプランを語るパターンです。
このNGパターンを語ってしまうと、相当不利な印象に追い込まれます。
なぜそこまで不利になるのか、を具体的にケーススタディで解説しているこちらの記事も参考にしてください。👉大学職員の転職は厳しい!「面接に落ちる理由を10個」4つ以上当てはまれば受かりません
FAQ(よくある質問)
- Q大学職員のキャリアで重要な部署はありますか?
- A
どれも重要ですが、強いてあげれば「教務」「財務」「管財」「研究」あたりが、大学の根幹を理解できるので重要と言えます。
- Q男女間でキャリアプランは変わりますか?
- A
基本的には変わりありません。ただし、女性の場合は共働きの職員が多いため、将来の職員幹部候補というよりも、きっちりとした事務職としてのポジションを積み上げるケースが目立ちます。もちろん、本人がそのように望んでいるから、という暗黙の空気感が反映されているだけで、男女差別という空気ではありません。
- Q中途採用でキャリアパスのデメリットはありますか?
- A
在籍年数が少ない点はデメリットと言えますが、それを除けば、どの大学でも、中途採用というだけでキャリアパスのデメリットはほぼなしといって良いでしょう。
- Qキャリアプランで例外的なケースはありますか?
- A
あります。例えば、学部長や理事や学長などが、特定の信頼する職員を自分の管轄する領域の部署に引っ張ってくるケースなどで、その部署に長期間在籍するケースなどがあります。また、海外大学や大使館との深い人脈が出来上がってしまった職員などが、もはや他の職員では務まらないほどキーパーソンとなって国際部から離れられなくなる、などもあったりします。
- Q大学職員の人事異動はどれくらいの頻度ですか?
- A
3〜5年で異動することが多いです。よく、10年で3部署を経験できるように人材育成する、といった方針をとっている大学が多いです。
- Q大学職員は出世するとどんな役職になりますか?
- A
役職は、企業と変わりありません。主任➜係長➜課長➜部長といったコースがほとんどの大学で敷かれています。職員の最高位は事務長or事務総長といった役職で、稀に、理事など大学の役員(経営者)になるケースもあります。
- Q大学職員は部署異動を断れますか?
- A
断れることはほぼ不可能です。レアケースとして、海外勤務や、国内でも遠方に作ったサテライトキャンパスなどへの異動の場合は、辞令が出る前に事前の打診があり、その段階で断れることはあり得ます。
- Q大学職員は専門職と総合職どちらですか?
- A
大学職員は、専門職も総合職も、どちらもあります。一般的な大学職員は総合職ですが、IT専門職や、図書館司書、医療事務(大学病院)などは専門職といえます。ただし、どちらも応募の段階で明確になっています。
まとめ:大学職員のキャリアプラン【超重要】
大学職員としてのキャリアプランを語る上で欠かせないのが、「今の職場で」あなたがどのようなキャリア観を持っているか、です。
今回の記事では、私立大学でのキャリアを語る模範例を解説しましたが、ここまで再現できる内定者はそう多くはありません。
ですので、もし面接で困ったときには、100点満点の回答に拘らず、「今の職場で、とれだけしっかりと前向きにキャリアを考えているのか」、と変換してアピールしてくれてもよいでしょう。
面接官は、必ずしも完璧なプレゼンテーションが欲しいわけではなく、あなたがどれだけ「魅力的な社会人なのか」を見ているからです。
以上です!
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「リクナビNext」で求人検索する時は、「学校法人 大学 専任職員」で検索しましょう。
※当サイトの「大学職員への転職支援コンテンツ」の全体像が掴めるスタート地点となる記事はこちらです。
👉 大学職員への転職ロードマップ(元大学職員編集)
もう一度この記事を復習したい人はこちら。
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