ホワイト度が高いことで注目の大学職員。
実際、今の職場と比べてどうなのか、転職前に、実例で確認しておきましょう。
元大学職員のAI(あい)です!教務、国際、研究支援、経理、人事、学長室、と経験して20数年。早期退職を利用して引退。大学職員としての経験談をPR記事として公開中!
勤務実態【1】残業
まずは大学職員の残業事情からです。
これは世間の会社と同じで部署によって様々です。
その上で、残業に影響する要因は以下の3つくらい。
残業が多い仕事内容
例えば入試センターなら、入学試験シーズンが繁忙期。
20:00時頃まで残業といった感じです。
年間で2ヶ月弱ほどそういった時期が続きます。
その間の月間残業時間は60時間程度。
このレベルなら「激務」と表現されます。
※ちなみに60時間=残業手当20万円〜25万円になります。
また、経理部なら、予算編成シーズンや決算期で同じような感じになります。
その他の部署でも、集中的に業務が発生する時期は19:00頃まで残業。
結果、月間20時間ほどの残業が発生します。
19:00時まで残っている時期は「忙しい時期」と表現されます。
※もちろん、残業が発生したら1分単位のフルで手当がつきます。
上記は特に忙しいパターンの典型例。
こういった典型例を除けば、他は残業はありません。
一般的には17時には退社。
たまに遅くなっても18時前には帰宅するのが通常、といった感じです。
職員の質や能力の影響による残業
大学職員には、何も仕事をしない職員が山ほど居座っています。
そのあたりの比率が高い部署だと、普通の職員に仕事のしわ寄せが来ます。
単純にその影響で残業せざるを得ない状況もあります。
また、大学は人事異動が多いのが特徴。
異動してしばらくは使い物にならないので、他の職員たちが残業せざるを得ない状況になることもあります。
それでも18時には帰宅できています。
上司の考え方による残業
これは、良い方向にブレるケースです。
しっかりとマネジメントする上司にあたると、仕事環境は格段に上がります。
働き方改革などの発想を合理的に持ち、無駄な慣例や余計な部内会議などを削減したりする発想が豊かです。
また、電子化・システム化できることを積極的に取り入れたりすることを当たり前のように実行します。
さらに、そもそも定時に帰宅することが本来の姿である、といった考え方でチームをまとめます。
結果、平時はほぼ17:00に帰っています。
教員会議の対応による残業
ちなみに「平時」ではない時の典型例が、会議対応です。
会議には教員が参加するので、先生たちが集まれるのは、授業が終わった後の時間帯のみ。
職員はそういった会議の事務局対応をするので、月に何回かは18:00以降の会議対応で残業が発生します。
大学は90分単位で動くことが多いので、会議の終了時間は大体19:30です。
勤務実態【2】休暇
有給休暇
有給休暇の消化率は50%程度。
年間15〜20日ほど取得している感じ。
月に1日取得、年に数回は2日連休として取得、といった感じですね。
実際はもっと取ろうと思えば取れるし、逆にやや遠慮する空気感もあったりで、その辺りがちょうどいいところで落ち着いてこのレベルです。
半日休暇
育児中の女性などは、午後の半日休暇の頻度を高くするパターンも多いです。
この場合、週に1回は午後の半休をとるといった感じ。
とすると、月間で2日分の有給休暇取得、年間で20日以上取得、といった感じになります。
いずれにしても、有給が取りづらいといった雰囲気はありません。
上司自身が休みたがる傾向が強いのが大学だからです。
指定休暇
有給休暇とは別に、以下の休日もあります。
- 創立記念日または開校記念日
- 創立者の誕生日や命日
- 夏休み
- 冬休み
といった感じです。
夏休み・冬休みのあり方については、大学によって結構バラつきがあります。
- 夏期・冬期それぞれ、合計10日間を、指定期間内に自由に取得できる大学(もちろん連休OK→土日含めると16連休に)
- 合計15日間の夏季・冬季休暇を取得可能という大学(土日を絡めると23連休にできます)
- 合計7日間、プラス期間中は毎日14:00が終業時間という大学(夏と冬は14:00に帰宅します)
- 民間企業と同程度という大学
- 夏も冬も休暇は無しといった大学もあり
最後の「無し」のパターンは、医学部付属病院がある大学です。
大学病院は、学生と違って夏休みや冬休みなどと言っている場合ではないからです。
GWだろうが年末年始だろうが、患者対応は待った無しだから、という事情ですね。
制度は充実
こんな感じで、休暇制度が充実している大学は多いです。
都市部の大学で、Bランク程度以上でそれなりに名の通った大学なら、ほぼ充実していると見ていいでしょう。
ちなみに「それなりの大学」を簡単に見極める方法をこちらの記事でまとめています。
勤務実態【3】休日出勤
いろんな部署で、年に数回程度、休日勤務がちょこっと発生します。
卒業式や入学式、入学試験対応など、主にイベントに対応する休日勤務になります。
とはいえ、多くても年に数回レベル。
少ない部署は年1回あるかないかといった感じです。
もちろん代休はしっかりと取れます。
この程度だと、働いている側の感覚としては、ほぼ休日勤務は無いに等しい感覚。
暦どおりのプライベート計画を建てられます。
土曜勤務がある
大学によっては土曜勤務があるところも。
理由は、土曜も大学は授業をやっているからですね。
ただ、その場合でも、月に2回程度、シフト制で回していることが多いです。
土曜出勤がある大学の場合、代休の有無は大学によります。
勤務実態【4】出張
出張は基本的にはほとんどありません。
それどころか、たまに発生する近場への外出程度の用務を、職員の場合は出張と呼んだりしています。
例外1(国内出張)
とはいえ、例外的に、長距離移動を伴う出張が多い部署もあります。
例えば、入試課は受験生向けの入試説明会で全国行脚をするシーズンがあります。
この場合でも、それぞれ担当制で回しますので、一人当たり多くても年に数回程度の出張といった感じです。
例外2(海外出張)
入試説明会などは、海外留学生向けに現地でも実施しています。
主に東南アジアと中国の主要都市、次に欧州主要都市、といったところが多いです。
あとは、研修や視察という名目で欧米に出張することもあります。
1週間ほどかけて複数の海外大学を視察するパターンが最も多いです。
数ヶ月間、特定の海外大学の事務部門への短期研修、というのもあったりします。
以上が大学職員の勤務状況です。
続いて、社風的な特徴を紹介します。
勤務実態【5】人間関係
人間関係は、決して良いとは言えないのが大学事務の特徴です。
大学職員は待遇が良く、安定もしており、業績や実績なども全く求められない職業。
積極性や責任感が育ちにくい組織文化であることは間違いありません。
そんな中で長く務めていると、大体10年もすれば皆、
「一生懸命やるだけ無駄」
といった感情が当たり前のように芽生えてきます。
そして必然的に仕事の押し付け合い、他力本願の土壌が出来上がります。
それがループ状態に入り、結果、人間関係に影響してきます。
どこでもある話かもしれませんが、二人集まれば大体が他人の噂話(悪口)をしている感じですね。
勤務実態【6】女性の活躍
女性の働きやすさという点では申し分ない環境。
忙しい部署や忙しい時期は確かにあります。
ですが、それらは予め年間スケジュールに沿ったルーティン業務ばかり。
段取りよく効率的に自分の仕事を進めれば、スケジュール感のある生活リズムが維持できます。
女性職員比率
大体どこの大学も、女性の割合は6割以上。
男性社会といった感覚は全くありません。
産休・育休・短時間勤務
産前・産後休暇、育児休職は当然のように整っています。
育休から復職後は、10:00〜16:00までなどの短時間勤務が当たり前です。
短時間勤務の場合、給料は削減されますが、それでも私の経験上、年収で700万円程度ありました。
手取りで50万円といった感じです。
女性管理職
昇給・昇格でも男女差はまずありません。
ただ、女性管理職の割合は2〜3割程度と見た目上は少ないです。
これは管理職を希望する女性自体が少ないことが理由。
なので、キャリア志向の方であれば、女性だろうが何であろうが全く平等に扱われます。
勤務実態【7】学歴(母校)・職歴
学歴
A〜Bランク程度以上の大学では、内定者は母校出身者が6〜8割を占めるといった感じです。
これを聞くと一見、転職活動でも母校出身の方が有利に見えるかもしれません。
ですが、そもそも応募者の母校出身者の比率が8割程度、といった事実をおさえておきましょう。
母校の応募者が多いから、母校の内定者が多い。
母校じゃない応募者は少ないから、母校じゃない内定者も少ない、という図式です。
入職後、もちろん母校の職員同士で、学生時代の話などで盛り上がることはあります。
だからと言ってそれが何か仕事や昇格に影響することは一切ありません。
ですので、母校かどうかという点は全く気にする必要なし。
私の勤めていたSラン私立の職員の学歴は、母校の比率が7〜8割、他はB〜Aラン大学出身でした。
応募者の割合も同程度です。
職歴
大学職員の中途採用は、スキル採用をしているわけではありません。
広い意味での社会人キャリアを前提としています。
そのため、転職者の職歴は千差万別。
大手一流企業出身もいれば、聞いたこともない企業出身者もいます。
強いて言えば、エリート一流の経歴というよりも、至って庶民的な職歴の職員の方が多いです。
もちろん昇格などにも一切影響しません
勤務実態【8】服装
男性は基本スーツ、クールビズありという感じ。
女性はオフィスカジュアル。
全体的に市役所のカウンターの向こう側にいる人たちのイメージです。
中には開き直っている職員も一定数いて、そういった自由人たちはラフな感じの服装でいたりします。
その場合、自由人に対して割と風当たりが強い空気が流れるのも、一つの社風です。
個人主義はあり得ず、あくまで横並び意識が強いのが、大学事務組織の社風です。
勤務実態【9】副業
大学教授がよくテレビや新聞、書物、政府や自治体の委員などによってその専門性を活かしているケースをよく見かけますね。
雇用主である学校法人が、これらの副業を禁止とすると大混乱になります。
そのため、就業規則などに副業のことを記載している大学は見たことがありません。
要するに不文律で副業OKです。
つまり、職員も副業は禁止されていない、という暗黙の理屈になっています。
教員も職員も同じ学校法人の就業規則だからですね。
私の周りにも、不動産経営やネットビジネスをやっている職員はかなり多かったです。
勤務実態【10】執務環境
物理的な意味での職場環境は、基本的にはどこも期待できません。
財源となる学生の学費を使うべき対象は、校舎や研究設備。
学費を事務部門の設備に投資するという発想は本末転倒だからですね。
建て替えや補修の優先順位も、常に教育と研究面が最優先です。
ですので、職員の事務室は、必然的に古くて狭くて暗いといった印象のところが多くなります。
その代わり、人件費にたんまりと学費を当て込んでいるのが私立大学の実態です
勤務実態【11】上下関係
例えば「さん付け」ではなく「〜課長」「〜部長」といった呼び方をする大学の方が多いです。
風通しも、決して良い方とは言えません。
特に、管理職とそれ以外(ヒラ)の間には高い壁があります。
責任はもちろん、決定権も情報も遮断される傾向です。
若手に裁量権を与えて積極的に仕事を押し進めてもらうといった雰囲気もありません。
若いうちは本当に事務だけ、処理するだけ、の仕事がメイン。
逆に管理職になると政策的な大学経営の裏事情が嫌というほどよく見えてくるといった感じです。
また、若くして昇進という例はあり得ません。
ですが、逆にいい年なのにヒラのまま、といった例は山ほどあります。
上昇志向が全くない職員が多いのも特徴です。
なので、40代も後半頃になると、年齢と役職が逆転してやりづらい状況が生じてきます。
勤務実態【12】職場結婚
職場結婚は多いです。
職員同士の結婚はもちろん、職員と教員の結婚も多いです。
高待遇の私立大学、収入・休暇・退職金・年金その他、職場結婚によるダブルでの世帯メリットは計り知れません。
世帯年収は3,000万円近く、退職金は二人で1億円近くに及びます。
自ずと都心部に高級住宅の持ち家、高級車プラス国産車の2台持ちといった感じの人が多くなります。
結婚後は、同じ部署やキャンパスにならないよう、職員の異動配属には一定の気を使ってくれます。
女性の場合、旧姓、新姓ともに自由に選んで仕事を続けています。
勤務実態【13】飲み会
飲み会文化はほとんどない、といった大学が多いと思います。
帰り際に上司が部下を誘うような風潮もほとんどありません。
年に数回、人事異動などによる歓送迎会でお食事会的なノリの飲み会がある程度です。
義務的パワハラ的飲み会によるストレスを感じるような組織ではないですね。
勤務実態【14】出世競争
意外にも、ここは激しいデッドヒートが繰り広げられています。
確かに穏やかな職員人生を狙って入職してきた職員は多いです。
しかし上昇志向があり、鼻息も粗い職員は少数ながら存在します。
感覚値として2割くらいでしょうか。
500人の職員がいれば100人くらいという感じです。
この100人のうち、管理職以上のポジションになってくると、それぞれが高慢な感じで仕事に邁進し、勢力図を読みながら派閥行動を起こし、互いに足の引きずり合いが行われたりしています。
このあたりはどの組織でも同じようにあると思いますが、大学職員も例に漏れず、かなり泥臭く行われています。
ちなみに大学職員の場合は、その目標は、
「目指せ事務総長」
です。
国の行政に例えると、事務次官のようなポジションですね。
事務総長になると、金と権力が手に入り、一応その大学の歴史に名を刻めることになります。
退職後も、別の大学の監事とか、教育関連法人の理事になったりすることが通例です。
✔️面接でのポイント
一次面接の面接官は、主に40歳手前くらいまでの若手・中堅の現場職員が複数名で担当します。
二次は、現場の管理職の職員(主に課長クラス)のケースが多いです。
いずれも採用に特化した面接官が評価するのではなく、あくまで「現場職員の目線で評価される」という点がポイントです。
つまり、上述のような社風で育った人達の目線で評価されることになるわけです。
- 保守的・封建的で、
- 横並び意識が強く、
- 温室の中で育ってきた人達、
を相手にして面接に臨むということを意識して対策を練りましょう。
具体的には、
- あまり波風を立てず、
- 言われたことを地道に黙々と、
- 他の人の仕事も積極的に受け入れてやってくれる若手職員、
などは、皆、喉から手が出るくらいに欲しい貴重な人材としてうつります。
ここが大学職員採用のストライクゾーン。
ここをよく理解できると、面接は極めてスムーズに進みますよ。
以上です!
「リクナビNext」で求人検索する時は、「学校法人 大学 専任職員」で検索しましょう!
その他のおすすめ転職事情
この記事が参考になった人なら、以下の記事もピッタリなはず。
大学職員は「ホワイト度が高い」とはいうものの、給料がどれくらいかは気になるところですね。こちらで公開しています。
「ホワイト人気」で急上昇中ですが、実際の採用倍率を知れば、意外とハードルが低いことが分かります。
その他、さまざまな切り口から情報を公開中です。
以下のジャンルから、転職活動のお役に立てて下さい!