- なぜmacOSは「山や湖」の名前なの?
- なぜ「Snow Leopard」は今も語られる?
- なぜWindowsのOS名は英数字だけ?
macOSのネーミングって、日本人のマーケ感覚ではちょっと異質に感じる方が多いと思います。
メッセージ性がありそうだけどピンとこないし、可愛いわけではないし、なんかエンジニア臭がゴリゴリだし。
でも、今やmacOSのバージョン数は、30個に迫り、それと同じ数だけネーミングも存在しています。
すべてを並べて俯瞰してみると、
「へ〜!なるほどぉ!」
と、知らなかった人にはとても新鮮な発見があると思います。
キーワードは、ネコ、海、山。
最初は、「一体どういうこと?」となるかもしれませんが、
知ると、「なるほど!じゃ次はどう来る?」と、今後の興味の対象にもなるでしょう。
そして何よりも、Macの理解が一層深まると思います。
今回の記事では、そんな「macOS」のネーミングについて語ります。
歴代macOSネーミング一覧(年表まとめ)
まずはかつての「Mac OS」から、現在の「macOS」に至るまでの変遷を追いかけてみましょう。
クラシックMac OS時代(番号のみ)
まだ「OS X」じゃない頃は、
- System 1〜7
- Mac OS 8
- Mac OS 9(1999)
名前なし。完全に実務主義でした。
Mac OS X(10):ネコ科時代一覧(2001–2012)
2001年を契機に、Appleは急に詩的になり始めました。
その皮切りが、俗に「😺ネコ科時代」と呼ばれたネーミングです。
| バージョン | コードネーム | リリース年月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 10.0 | Cheetah(チーター) | 2001年3月 | Mac OS X初版、Aquaインターフェース登場 |
| 10.1 | Puma(プーマorピューマ) | 2001年9月 | パフォーマンス改善、DVD再生対応 |
| 10.2 | Jaguar(ジャガーorジャギュア) | 2002年8月 | Quartz Extreme導入、iChat追加 |
| 10.3 | Panther(パンサー) | 2003年10月 | Exposé搭載、Finder強化 |
| 10.4 | Tiger(タイガー) | 2005年4月 | Spotlight検索、Dashboard搭載 |
| 10.5 | Leopard(レパード) | 2007年10月 | Time Machine初搭載 |
| 10.6 | Snow Leopard(スノーレパード) | 2009年8月 | 軽量化・高速化に特化 |
| 10.7 | Lion(ライオン) | 2011年7月 | Mac App Store導入、iOS的UI強化 |
| 10.8 | Mountain Lion(マウンテンライオン) | 2012年7月 | 通知センター、iCloud連携強化 |
特徴を端的にまとめると、
- 速そう
- 強そう
- マニア感MAX
です。
Jobs時代の「俺たち速いぞ、特別だぞ」のアピールでしょう(Mac OS X 10.0 〜 10.7 がジョブズ時代のOSです)。
- 「Windowsより速い」
- 「プロが使うOS」
特に Tiger ➜ Leopard ➜ Snow Leopard の流れは、完成度の高さが絶賛された時期でした。
実際、Snow Leopardは、今でも「名作OS」と語られています(そのストーリーを後述)。
OS X:カリフォルニアの地名時代(前期)一覧(2013–2015)
ここから、Macブランドの再構築期に入ります。
| バージョン | コードネーム | リリース年月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 10.9 | Mavericks(マーベリックス) | 2013年10月 | 動物から地名へ転換、無料アップデート化 |
| 10.10 | Yosemite(ヨセミテorヨウセミティ) | 2014年10月 | フラットデザイン採用、iPhoneとの連携強化 |
| 10.11 | El Capitan(エルキャピタン) | 2015年9月 | 安定性・パフォーマンス向上、Split View搭載 |
突然、ネコ科動物の名前じゃなくなり、Apple本社のあるカリフォルニアの地名くくりのネーミングがスタート。
しかも、海や山がシンボルの地名を使用しています。
- Mavericks ➜ サーフスポット(海)
- Yosemite ➜ 国立公園(山・渓谷)
- El Capitan ➜ ヨセミテの巨大な岩山
ネコ😸から、海🏄️・山⛰️へ、一体何があったのでしょうか?
macOSが動物名から地名へ変更した理由
理由は公式にはこう言われています。
- キャット系ネームがネタ切れ
でも今振り返ると、本質はもう少し深いです。
- 「強さ・速さ」より「世界観」を売る時代に入った
この頃のAppleの主軸は、完全にIPhoneに移りました(2012年がiPhoneが世界の主役になった年と言われています)。
Macはそれを補完するエコシステム的な位置付けにシフトし、「仕事道具」ではなく、ライフスタイルの一部として見せ始めたのです。
それが次に見る、「macOS」(「Mac OS」から改名)時代の幕開けです。
macOS:カリフォルニアの地名時代(後期)一覧(2016–)
2016年から、iOSとネーミングを揃えて「Mac OS」から「macOS」に改名します。
| バージョン | コードネーム | リリース年月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 10.12 | Sierra(シエラ) | 2016年9月 | Siri搭載、Apple Watchで自動ロック解除 |
| 10.13 | High Sierra(ハイシエラ) | 2017年9月 | APFS導入、内部性能改善中心 |
| 10.14 | Mojave(モハーヴェorモハヴィ) | 2018年9月 | ダークモード搭載 |
| 10.15 | Catalina(カタリナ) | 2019年10月 | 32bitアプリ廃止、iTunes終了 |
| 11 | Big Sur(ビッグサー) | 2020年11月 | デザイン刷新、Apple Silicon対応開始 |
| 12 | Monterey(モントレー) | 2021年10月 | ユニバーサルコントロール |
| 13 | Ventura(ベンチュラ) | 2022年10月 | Stage Manager搭載 |
| 14 | Sonoma(ソノマ) | 2023年9月 | デスクトップウィジェット強化 |
| 15 | Sequoia(セコイア) | 2024年9月 | iPhoneミラーリング機能 |
| 16 | Tahoe(タホ) | 2025年9月 | AI機能強化(Apple Intelligence本格展開) |
特徴は、
- 全てカリフォルニアの自然豊かな地名
- 誰もが知る大都市名は「使っていない」
- 自然・余白・ライフスタイル重視路線
です。
macOSネーミングの変遷まとめ
ネーミングの大きな流れを3行でまとめるとこうなります。
- 番号だけの時代 ➜ 黎明期の職人感
- ビッグキャットの時代 ➜ パワー&スピード
- 地名の時代 ➜ 世界観・ブランド・生活感
macOS 歴代バージョン一覧(10.0〜)
【タップして展開】macOS 10.0(2001年)から2026バージョンまで、一気通貫で見たい方はこちら。
| バージョン | 名称 | リリース年月 | 主な特徴 | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| 10.0 | Cheetah | 2001年3月 | Mac OS X初代、Aqua UI採用 | ネコ科 |
| 10.1 | Puma | 2001年9月 | パフォーマンス改善、DVD再生対応 | ネコ科 |
| 10.2 | Jaguar | 2002年8月 | Quartz Extreme導入、安定性向上 | ネコ科 |
| 10.3 | Panther | 2003年10月 | Exposé搭載、Finder刷新 | ネコ科 |
| 10.4 | Tiger | 2005年4月 | Spotlight搭載、Dashboard導入 | ネコ科 |
| 10.5 | Leopard | 2007年10月 | Time Machine搭載、Spaces追加 | ネコ科 |
| 10.6 | Snow Leopard | 2009年8月 | Intel最適化、64bit強化 | ネコ科 |
| 10.7 | Lion | 2011年7月 | Launchpad導入、iOS風操作強化 | ネコ科(ここまでスティーブ・ジョブズ) |
| 10.8 | Mountain Lion | 2012年7月 | Notification Center導入 | ネコ科(ここからティム・クック) |
| 10.9 | Mavericks | 2013年10月 | 地名へ転換、無料アップデート化 | 地名(転換点) |
| 10.10 | Yosemite | 2014年10月 | フラットデザイン採用、iPhone連携強化 | 地名 |
| 10.11 | El Capitan | 2015年9月 | 安定性向上、Split View搭載 | 地名 |
| 10.12 | Sierra | 2016年9月 | Siri搭載、名称が「macOS」に変更 | 地名 |
| 10.13 | High Sierra | 2017年9月 | APFS採用、内部性能強化 | 地名 |
| 10.14 | Mojave | 2018年9月 | ダークモード搭載 | 地名 |
| 10.15 | Catalina | 2019年10月 | 32bitアプリ終了、iTunes廃止 | 地名 |
| 11 | Big Sur | 2020年11月 | UI大刷新、Apple Silicon対応 | メジャー再設計 |
| 12 | Monterey | 2021年10月 | ユニバーサルコントロール | 地名 |
| 13 | Ventura | 2022年10月 | Stage Manager搭載 | 地名 |
| 14 | Sonoma | 2023年9月 | ウィジェット強化、ゲーム対応強化 | 地名 |
| 15 | Sequoia | 2024年9月 | iPhoneミラーリング、AI基盤強化 | 地名 |
| 16 | Tahoe | 2025年 | Apple Intelligence本格統合 | 地名(新世代) |
さて、次からが本題です。
調べたことを、ちょっと深掘りして紹介します。
地名は、なぜカリフォルニア縛りなのか?
理由はかなりシンプルです。
Appleは「カリフォルニアの会社」であることをブランドにしているから。
- Designed by Apple in California
- 西海岸カルチャー
- 自然・余白・自由
つまり、OS名=Appleの原風景だからと言えます。
macOSは、なぜ「都市名」ではなく「自然地名」が多いのか?
自然地名にした理由は、Appleは“場所”ではなく“風景”を売っているからだそうです。
都市名は「機能」を連想させる
たとえば…
- macOS Los Angeles
- macOS San Francisco
仮にこうだとすると、自然と以下を想起してしまうでしょう。
- ビジネス・人間関係
- 経済・交通・ビル・早足
都市は「人間の打算的活動」の象徴と言えます。
でもAppleが売りたいのは、効率のOSではなく、心地よさのOS、そこを象徴的にしたいから、都市名は使わないのだそうです。
自然地名は「体験」を連想させる
- Sierra(山脈)
- Mojave(砂漠)
- Catalina(島)
- Big Sur(海岸)
- Sequoia(巨木)
全部、何となく👇を連想させてくれます。
- 広がり
- 余白
- 深呼吸
- 永続性
このフレーズって、macOSのUIそのものだということが、ユーザー視点でもめちゃくちゃ納得できます。
都市は“変わる”、自然は“残る”
都市は発展し、衰退もします。
でも、
- 海(Mavericks)
- 山(Yosemite, El Capitan)
- 砂漠(Mojave)
- 島(Catalina)
- 海岸(Big Sur)
- ワイン産地(Sonoma)
は、数百年単位で、当たり前のように残ります。
Appleも、Macのみならず自社ブランドを「数百年単位」のものとして活動。
だから永続性の象徴として、OSのコードネーミングに取り込んでいるわけです。
ちょっと面白い視点
- Snow Leopardだけ異常に評価が高かった理由
→ 機能追加なし・最適化に特化 - Big SurからUIが激変した理由
→ iOS/iPadの台頭が影響 - Windowsが地名を使わない理由
→ Microsoftには真似ができない
順番に紹介していきましょう。
①「Snow Leopard」が神格化した理由
Snow Leopard(10.6)が今でも語られる理由は、
- シンプルで、「何もしなかったOS」だからです。
Appleが、たった一度だけ、機能を増やさなかった、唯一のMac OSです。
当時の「Snow Leopard」の公式メッセージ
新機能はほぼありません。
簡単にいうと、Snow Leopardは「機能を足さず、土台を作り直した異例のOS」でした。
「もう既に機能は十分、今回は足場を整えただけです」と、Appleの自信を明言した瞬間だったとも言えます。
「Snow Leopard」がやったこと
実際、世界中のエンジニアたちが、その「整えただけ」のUpgradeっぷりに驚愕したらしいです。
- 内部コードの大整理
- メモリ管理の改善
- 動作速度の向上
- 安定性の異常な高さ
- PowerPC切り捨て(Intel専念)
私を含め、2009年当時の一般ユーザー視点も、
「あれ?なんか全部速いし、落ちない」
という謎の快適さを体験したのをよく覚えています。
なぜ「Snow Leopard」は“伝説”になったのか
理由は3つです。
- 完成度がピークだった
- プロ用途での信頼が異常
- 次が“変化の時代”だった
Snow Leopardの次、Lion(ジョブズ体制の最後のOS)以降、Macは、
- フルスクリーン
- ジェスチャー
- iOS寄りUI
と「思想OS」に変わっていきます。
「思想OS」への移行はジョブズ晩年から練られていた設計だそうで、それがティム・クック体制でローンチされた流れです。
だからこそ、Snow Leopardは、
- “思想OS”に変わる前の”技術OS”で、
- ジョブズ体制の玄人感が絶頂期で、
- “最後の職人OS”
として神格化されたのだと言えるでしょう。
次のエピソードは、2020年「Big Sur」です。
②「Big Sur」からUIが激変した理由
Big Sur(2020)は、macOS史上いちばん“見た目が変わった”瞬間です。
なぜあれほど丸くなったのか?
Big Surで起きたことは:
- アイコンがiOS風の角丸スクエアに
- 透明感アップ
- 余白が増加
- サイドバーが軽量化
- コントロールセンター導入
一説によると、iPadに寄せたからと言われています。
ですが、それだけではありません。
最大の理由はApple Siliconへの移行
Big Surの年、2020年、Appleは発表しました。
Intelやめます。自社チップにします。
これがMac史上最大の転換期と言えます。
- CPUが変わる
- アプリの仕組みが変わる
- iOSアプリがMacで動くようになる
つまり、MacとiPhoneの“中身”が近づいた転換期とも言えます。
もう一つの理由:Macの主役が交代
- Big Sur以前は:Macはマニア向け機
でしたが、
- Big Sur以降は:Macは“普及した”端末
にシフトしてゆきます。
どんな人もMacが普通に選択肢に入るようになった理由が:
- iPad的な気軽さを取り込み
- UIもそれに合わせた
からです。
さらに、Big Sur以降は:
- M1の省電力
- ファンレス
- 長時間バッテリー
が普及に加速を加えます。
「バージョン番号」の付け方も象徴的
実は、バージョン番号が象徴的なんです。
Big Surは「macOS 11」。
それまではずっと「10.x」。
20年間も続いた“10”が終わった非常に大きな転換期。
つまり、Big Surは、次なる幕開けの最初のOSです。
これは、
- Snow Leopard的なテック路線は終了
- すなわちOS X時代はもう完全に終了
の明確な合図でもあったと言えます。
これが、2020年の「Big Sur」による大変革です。
最後に、Windowsの思想も、MacOSとの対比で知っておくと興味深いので紹介します。
③ Windowsはなぜ地名を使わないのか
ここもセットで調べたら、地味に面白い違いでした。
マイクロソフトが絶対にやらないブランディングです。
Appleのブランディング
Appleのブランディングはこんな感じでした。
- 感情
- 世界観
- 余白
- 物語
Microsoftのブランディング
一方のMicrosoftはお堅い路線です。
- 互換性
- 継続性
- 法人
- 業務
Windowsの“名前”の役割
お堅いWindowsの名前は以下の通りです。
- Windows 95 → 1995年8月24日
- Windows XP → 2001年10月25日
- Windows 7 → 2009年10月22日
- Windows 10 → 2015年7月29日
- Windows 11 → 2021年10月5日
全部、単なる「英数字区切り」。
感情を動かすなどという要素は一切なしです。
もちろんその理由は、Windowsは“業務基盤としてのOS”という役割が強いからです。
Windowsは業務基盤としてのOS
- 会社で使う
- 仕事で必要
- 選択権がない
つまりWindowsは、ブランディングより「互換性と継続性を優先する設計思想」です。
Microsoftは必要とされるOSを配る会社であると言えます。
Windowsが思想を入れると・・
もし「Windows Yosemite」なんて出たら…
- 管理者が嫌がる
- バージョン管理で混乱する
- 結果、法人が混乱する
となるのではないでしょうか。
Windowsは、詩的にはなれないし、なる必要もないでしょう。
まとめ|macOSのネーミングにはAppleの思想が隠れている
「macOS」のネーミングには、性能ではなく、まさにAppleの思想・哲学が現れています。
- 番号だけの時代 ➜ 黎明期の職人感
- ネコ科動物系の時代 ➜ パワー&スピード
- 自然地名の時代 ➜ 世界観・ブランド・生活感
- ???の時代 ➜ (多分)AIを逆手に取って古典ホモサピ系
今後は新製品が出るたびにスペックではなくて「思想」を読み解く楽しみが出てきませんか?
以上です!
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